アウトリーチ(不登校訪問支援) 

アウトリーチ レイパスの事業
この記事は約5分で読めます。

はじめに

フリースクールを経営していて、難しいと感じる問題の1つが「子ども本人がなかなか外に出られない」ということです。

そもそも不登校ですので、すっと外に出られる方が珍しいとも言えます。が、だからと言ってフリースクールで待っているだけというわけにはいきません。「外へ出られないのであれば、こちらから出向こう!」というのが、このアウトリーチ(訪問支援)です。

このアウトリーチの必要性は、文部科学省の以下の調査から数字としても出ています。

(引用元)R2児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(文部科学省引用基準に従って引用)

不登校の総数196,127人(小中学生)
(※不登校に、病気・経済・コロナ忌避を加えた長期欠席は、287,747人(小中学生)。高校生の長期欠席は、80,527人)

学校内外で相談・指導等を受けた児童生徒数は約129,000人

(いずれも令和2年)

郷原
郷原

約7万人の小中学生が、どこともつながらず不登校状態にあるということです。

アウトリーチ(訪問支援)

概要

料金

無料(全3回)

Day1 保護者面談

zoomやLINEビデオ、またはお電話などで現状のヒヤリングを行います。

そのヒヤリングに基づいて、個別の支援計画を立てます。

支援計画書

Day2 訪問支援

ご家庭や近隣の公園・カフェなどへレイパススタッフが訪問し、本人とお会いします。

状況によっては、直接の対面は避けてオンライン・手紙のやり取り・お母さんからの伝達などの方法でコミュニケーションを取ります。訪問することにこだわらず、その子の状況に合わせた柔軟な支援を心がけています。

内容は、学校の勉強を見たり、散歩や雑談をしたり、一緒にゲームをしたりすることを想定しています。場合によってはただ近くにいるだけで、本人もスタッフも別々のことをしているということもあります。

Day3 支援機関紹介

支援先を紹介し、一緒に訪問します。

子どもの支援をする団体はたくさんあります。それぞれに特徴がありますので、その子が今一番必要としている機関を考えて、マッチングします。

紹介先例:公的相談機関・オンラインの居場所・その子に一番合いそうなフリースクール・同じ趣味を持つ集まり・福祉施設など

スタッフ

NPO法人レイパス代表 郷原 徹志

<資格>
教員免許(小学校)・行政書士・チャイルドカウンセラー

<経歴>
中学時代に、いじめ・不登校を経験。大阪大学法学部卒業後、民間企業を経て『いじめ防止・不登校支援』の行政書士事務所開業。不登校の子どもたちだけでなく、保護者にも支援が必要であると考え、カウンセリングも行う。また、児童相談所職員(非常勤)として、被虐待・非行児童生徒のケアにも携わる。現在、NPO法人レイパス代表理事。2児の父として、子育てにも夢中。

アウトリーチ具体例

レイパスで実施したアウトリーチ(訪問支援)の具体例をご紹介します。

①小学5年生 男の子の例

day1

小学1年の時、よく勉強ができる彼は公文で上級生よりも勉強ができてしまい、目を付けられいじめを受けていました。

進級しても、同級生からもいじめを受け続け、とうとう小学5年生の時に学校へ行けなくなりました。そこから彼は、アイデンティティの1つでもあった勉強にも手がつかなくなり、約半年間ひきこもり状態となります。

お母さんが居場所を探し、レイパスのHPを見つけて見学に来られました。お母さんもお父さんも、「息子にはレイパスが合っている」と感じますが、肝心の本人がレイパスへ見学に行くことを拒みます。いじめを受けてひきこもっている彼には、同級生くらいの子どもがいる場所へ行く気になりづらかったのです。

そこでお父さんからレイパスに提案がありました。「河川敷で会えないか」

近所の同級生と合わない時間であれば、犬の散歩へ行く習慣が彼にはありました。そこでレイパスと河川敷で待ち合わせ、挨拶をする・できれば一緒に遊ぶという計画を立てました。

day2

河川敷で待ち合わせをしましたが、なかなか本人はレイパスの方へ来られません。

そんな中、愛犬が間を取り持ってくれました。きっかけができたところから、少し会話でき、最後にはスタッフやレイパスの子どもたちと一緒にキャッチボールもできました。

写真は別の子どもたちの様子です

day3

その翌日、彼はレイパスへ見学・体験に来ることができました。

その日以降、彼は通院など特別な日以外は毎日レイパスへ通っています。そして、地元の中学ではなく、受験をして私立中学(自分の趣味と合う部活がある)に行こうと勉強をがんばっています。

②中学既卒 女の子の例

day1

中学3年生の10月から学校へ行かなくなった彼女は、ずっとグレーゾーンのいじめを受けていました。勉強ができることへの妬みや、弟がダウン症であることのからかいなどがずっと続いていたということでした。

机を教科書で強く叩かれたり、「○○くんのこと好きらしいで」と言われたりといったいじめがあったそうですが、担任は「聞き取りしましたが、5人ともしていないというのでなかったということで」と最悪の対応。

その結果、担任の前では全く目をみることなく、二つおりになるほどうつむき固まってしまうようになりました。その後、状況は悪化しお母さん以外の人とは話せないようにまでなりました。

学校を休むようになってから、勉強はほとんどストップした彼女ですが、毎日続けていることがあります。それがストーンペイントです。

中学を卒業した彼女に社会との接点をつくるため、ストーンペイントを活用できないかと、支援計画を考えました。

day2

今回のケースでは、訪問することがむしろ支援の妨げになると考え、お母さんを通して本人とコミュニケーションを図りました。その結果、ペイントストーンを松原市の福祉作業所に置いてもらうという計画に本人の同意を得られました。

また、福祉作業所の所長さんにもお会いし、今回の支援計画をお伝えしました。すぐさまご快諾いただき、作品を作業所のショップで販売してくれることになりました。

day3

お母さんとレイパス(郷原)で、作業所を訪問。

販売に向けた手続きや今後の流れを確認。翌週には、納品・販売スタートとなりました。

郷原
郷原

一ファンとして購入し、レイパスで使わせてもらっています

最後に

大事なのは、社会との接点を創ること。周囲の大人が、その子に合うきっかけを提供できれば子どもは動き出せます。

これからますますアウトリーチの必要性は高まります。レイパスも社会貢献する力を高めていかねばなりません。

タイトルとURLをコピーしました