いじめに泣き寝入りしない!いじめ防止対策推進法第8条(学校及び学校の教職員の責務)、第9条(保護者の責務等)を解説

いじめ防止対策推進法解説8条9条 いじめ防止
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はじめに

お母さん
お母さん

保護者として、いじめにどう対応したらいいのでしょうか?

郷原
郷原

いじめの対応に唯一の正解はありません。それでも保護者にはどんな対応が期待されているのか、学校はどんな責任があるのか、法律は言葉にしています。

保護者の対応は9条で解説します。

【条文】第8条(学校及び学校の教職員の責務)

(学校及び学校の教職員の責務)
第八条 学校及び学校の教職員は、基本理念にのっとり、当該学校に在籍する児童等の保護者、地域住民、児童相談所その他の関係者との連携を図りつつ、学校全体でいじめの防止及び早期発見に取り組むとともに、当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処する責務を有する。

【解説】第8条(学校及び学校の教職員の責務)

教員の責務

はむた
はむた

「一人で抱え込まない」ことが責務なんだな。

郷原
郷原

過去のいじめの事案では、教員が一人で抱え込んでしまったり、学校だけで対処しようとしてしまい、結果的に適切な対処がなされてこなかったという反省があります。

そのため、9条の規定で、学校及びその教職員は、学校現場だけの孤独な対応から脱却し、関係者の連携の中で、いじめの防止等の対策において中心的役割を果たすことが期待されています。

【条文】第9条(保護者の責務等)

(保護者の責務等)
第九条 保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、その保護する児童等がいじめを行うことのないよう、当該児童等に対し、規範意識を養うための指導その他の必要な指導を行うよう努めるものとする。
2 保護者は、その保護する児童等がいじめを受けた場合には、適切に当該児童等をいじめから保護するものとする。
3 保護者は、国、地方公共団体、学校の設置者及びその設置する学校が講ずるいじめの防止等のための措置に協力するよう努めるものとする。
4 第一項の規定は、家庭教育の自主性が尊重されるべきことに変更を加えるものと解してはならず、また、前三項の規定は、いじめの防止等に関する学校の設置者及びその設置する学校の責任を軽減するものと解してはならない。

お母さん
お母さん

保護者の責務と言われると身構えてしまいます

郷原
郷原

当たり前のことを書いているだけですので、ご安心ください。

すごく簡単に書きますと以下のようになります。

保護者の責務

① 自分の子がいじめをしないように育てる

② いじめられているわが子を守る

③ 学校などと連携する

【解説】第9条(保護者の責務等)

第9条の前提

はむた
はむた

この法律は「誰もがいじめの加害者になりうる」という前提からスタートしているんだな。だから、自分の子がいじめをしないように育てようと書いてるんだな。

家庭教育と法律(9条1項)

日本の法律は、家庭教育に口出しすることにとても慎重です。それは、戦前の国家が家庭教育に介入していたことを反省しているからです。

郷原
郷原

このような法律を作るときにも、家庭教育を統制(コントロール)するものではないことを、はっきりと確認しています。つまり、どんな子どもを、どんな風に育てようと親の自由というのが大原則です。

はむた
はむた

自由と言っても、虐待などは当然禁止されているんだな。

教育方針に、国が口出ししすぎないようにしているんだな。

コントロールしないのは前提としながら、教育基本法では家庭教育において実施すべきものを定めています。

参考)教育基本法第10条1項

父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。

この教育基本法を具体的にしたのが、いじめ防止対策推進法の9条1項というわけです。「心身調和のとれた発達」を具体的にしたものの1つが「規範意識を養い、いじめをしないように」ということになります。

適切な保護(第9条2項)

「いじめからの適切な保護」がどのようなものかは、ケースバイケースです。確実にいえることは、いじめを受けた児童等に寄り添った対応が求められるということです。

例えば、

・学校や教育委員会に相談する

・弁護士等、法的専門家に相談する

・人権擁護委員に相談する

・警察に被害届を出す

・学校を休ませる

・児童福祉関係者と相談する

など、様々な対応が考えられます。

郷原
郷原

子どもが学校へ行きたくないと言ったら、まずは休ませてください。

はむた
はむた

とにかく安全が最優先なんだな。「保護者がいじめに気付けたのは、相当いじめが深刻になっているから」というケースが多いんだな。

お母さん
お母さん

「子どもはいじめられていることを隠す」とよく聞きます

なお、「いじめを受けた場合」とありますが、いじめを受けていると疑われる場合にも、適切な保護を取るべきことは言うまでもありません。

学校の責任と保護者の責任(9条4項)

保護者の責任を定めているからといって、学校の責任を軽減するものではないと、明確にされています。

郷原
郷原

保護者がここに書かれている責務を果たさなかったからといって、学校の責任が軽減されることにはつながらないということです。

はむた
はむた

例えば、損害賠償責任での賠償額にも関わってくるんだな。

この条文ですが、学校と保護者の責任の押し付け合いといった低いレベルの事態を念頭においているのではありません。むしろ学校と家庭の責任を明確にした上で、それぞれが連携していじめを防止するのであって、その防止を家庭まかせにしてはならないことを確認しています。

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