学校を休んでもいい? 教育機会確保法のすべて フリースクール、教育支援センター(適応指導教室)、ホームスクール、夜間中学校、特例校

教育機会確保法解説 不登校と親
この記事は約9分で読めます。

はじめに

お母さん
お母さん

教育機会確保法について教えてください

郷原
郷原

2016年に成立した法律で、増加する不登校に対応するためにつくられた法律です。

正式には、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律といいます。

教育機会確保法の内容

郷原
郷原

画期的な法律ですが、書いてある内容はとてもシンプルです。

① 学校を休んでもいい

② 学校以外にも学ぶ場所がある

様々な立場から様々な意見のある法律ですが、レイパスは不登校支援に関して大きく前進した法律だと捉えています。それは上記2点、①学校を休んでもいい、②学校以外にも学ぶ場所があることが認められたからです。

① 学校を休んでもいい

学校へ行く義務?

はむた
はむた

一昔前には、学校を休んでもいいと考える人は少数派だったんだな。

この法律ができてから、「学校を休んでもいい」と言いやすくなったんだな。

郷原
郷原

私は母から「勉強しなさい」と言われたことがほとんどありません。そんな私の母でも「お母さんは学校を休んだことはない、学校は行くのが当たり前」とよく言っていました。

そもそも、「学校へ通う義務」など存在しません。ご存じの方も多いですが、憲法が定めているのは親が子を学校へ通わせる義務です。これは、子が家の農業などを手伝ったり、弟妹の面倒をみるために学校へ通わせてもらえないケースが多かった過去の時代背景があります。

明治時代に学制が発布された後も、「家の手伝いがある。学校なんかいかせるものか」と突っぱねた親も多かったそうです。

はむた
はむた

現在でも一部の難しい家庭では、家事を手伝わされるので学校へ行けないという子もいるんだな。そうした家庭(親も子も)への支援も必要なんだな。

ここで確認しておきたいのは、「親が子を学校へ通わせる義務」は、「嫌がる子を無理やり学校へ通わせる義務ではない」ということです。

学校を休んではいけない空気

学校を休んではいけない法的根拠はないことがわかりました。それでは、学校を休んではいけないと言われていたのはなぜでしょうか?

学校を休んではいけないわけ

・国としては、教育のために学校へ来てほしい

・親としては、会社へ行っている間、子どもには学校へいてほしい

・社会に出たら休めない。多少いやなことがあっても、我慢して学校へ行くことが必要

レイパスでは、このような考えから学校を休まずに通うことが求められていたのだと捉えています。

はむた
はむた

親の「私も我慢して学校へ通っていたのだから、子どもにも我慢して学校へ行かせる」という発想もあるんだな。

郷原
郷原

これは、体罰との関連でも危険な発想です。

「自分もされていたので、子どもにも同じことをする」のはすぐにやめなければなりません。

学校を休んでもいい

そして、2016年に法律にはっきりと、「学校を休んでもいい」と書かれました。法律は、私たち国民が選んだ国会議員が成立させるものです。つまり、この「学校を休んでもいい」という考えは私たち国民の考えです。

条文としては以下のような記述になります。

(学校以外の場における学習活動等を行う不登校児童生徒に対する支援)
第十三条  国及び地方公共団体は、不登校児童生徒が学校以外の場において行う多様で適切な学習活動の重要性に鑑み、個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ…

休養の必要性を踏まえ」で休むことを想定し、また、「学校以外の場において行う…学習活動」で学校を休んで他の場で学習することを想定しています。

② 学校以外にも学ぶ場所がある

学校以外の学びの場所 一覧

① 不登校特例校

② 教育支援センター(適応指導教室)

③ フリースクール

④ 子どもの居場所

⑤ 夜間中学校

⑥ ホームスクール

不登校特例校

(特別の教育課程に基づく教育を行う学校の整備等)
第十条  国及び地方公共団体は、不登校児童生徒に対しその実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校の整備及び当該教育を行う学校における教育の充実のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

不登校の児童生徒の実態に応じた、特別の教育課程を設定しています。

各学校、それぞれに工夫をこらしたカリキュラムがありますが、総じて、学習時間を減らした代わりに総合的な学習の時間(探究学習の時間)を増やし、体験活動などを積極的に取り入れています。

平成27年で、729名の子どもがこの特例校に通っているそうです(文部科学省「不登校特例校の設置に向けて」より)

・特例校一覧(ブログ公開時点で17校)

指定の状況及び指定を受けている設置者一覧:文部科学省

教育支援センター(適応指導教室)

(学習支援を行う教育施設の整備等)
第十一条  国及び地方公共団体は、不登校児童生徒の学習活動に対する支援を行う公立の教育施設の整備及び当該支援を行う公立の教育施設における教育の充実のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

教育支援センターは、自治体が設置する公立の教育施設です。主に不登校の子どもの学習の場として機能しています。以前は、適応指導教室と呼ばれていたように「学校の復帰を前提に」通うことのできるスペースでした。現在は、学校復帰は前提としていない施設が多いと聞いています。

はむた
はむた

松原市の教育支援センター「チャレンジ」とは、レイパスも仲良くさせていただいているんだな。

郷原
郷原

教育支援センターによっては、「雰囲気が学校に近いので合わない」「学校復帰を目指している雰囲気がある」という声を保護者や子どもたちから聞きます。

教育支援センターのデータ(文部科学省令和元年「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」より)

・自治体の63%で設置(つまり、近くに支援センターがないこともある)

・約2万人が利用(そのうち約5000人が学校へ復帰)

・大まかに見ると、3か月程度の利用、半年程度の利用、1年以上の利用がそれぞれ三分の一ずつ(学年にもよります。詳しくはリンクをご参照ください)

・75%の教育支援センターで、教職系の先生か元教員の先生が常勤として対応

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/05/20/1416689_002.pdf

フリースクール

フリースクールの定義は様々ですが、ここでは主に不登校の子どもを受け入れる民間の施設と考えます。上記教育支援センターの民間版ということになります。

(学校以外の場における学習活動の状況等の継続的な把握)
第十二条  国及び地方公共団体は、不登校児童生徒が学校以外の場において行う学習活動の状況、不登校児童生徒の心身の状況その他の不登校児童生徒の状況を継続的に把握するために必要な措置を講ずるものとする。

(学校以外の場における学習活動等を行う不登校児童生徒に対する支援)
第十三条  国及び地方公共団体は、不登校児童生徒が学校以外の場において行う多様で適切な学習活動の重要性に鑑み、個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ、当該不登校児童生徒の状況に応じた学習活動が行われることとなるよう、当該不登校児童生徒及びその保護者(学校教育法第十六条に規定する保護者をいう。)に対する必要な情報の提供、助言その他の支援を行うために必要な措置を講ずるものとする。

教育機会確保法では、国や県が

① フリースクールへ通う子どもの状況を継続把握すること

② 子どもやその保護者へフリースクールについて情報提供したり、支援をすること

が定められています。

フリースクールについては、平成29年の文部科学省調査で、全国に約400団体あり、4200人の子どもが通っているというデータがあります。

はむた
はむた

現場の感覚としては、現在はもっと多くなっているという実感があるんだな。

フリースクールと学校連携については、以下の記事をご覧ください。

子どもの居場所

フリースクール以外にも、子どもたちを受け入れる居場所はたくさんあります。

自然体験や音楽活動といった、テーマが設けられている場所もあれば、ただいるだけの安心できる居場所といった場所もあります。

夜間中学校

(就学の機会の提供等)
第十四条  地方公共団体は、学齢期を経過した者(その者の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから満十五歳に達した日の属する学年の終わりまでの期間を経過した者をいう。次条第二項第三号において同じ。)であって学校における就学の機会が提供されなかったもののうちにその機会の提供を希望する者が多く存在することを踏まえ、夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

現在、10都府県28市区に34校あります。

もともと、戦後の混乱期の中で義務教育を修了できなかった人や、様々な理由から本国で義務教育を修了せずに日本で生活を始めることになった外国籍の人など、多様な背景を持った人たちが学ぶ場として設置されていました。

郷原
郷原

平成29年時点で1,687人が学んでいる夜間中学校ですが、すべて通常の学齢を過ぎた人で、60歳以上の生徒が456人(27.0%)います。

しかし、不登校の子どもの増加から、夜間中学校で不登校の子どもの受け入れを進める動きが出てきています。今後、不登校の子どもたちの居場所として期待されており、各都道府県に1校設置することが目標とされています。

時間割の例

学 活 17:25
1校時 17:30~18:10
給 食 18:10~18:40
2校時 18:40~19:20
3校時 19:25~20:05
4校時 20:10~20:50
終学活 20:50~

もちろん卒業すれば、中学校卒業資格がもらえます。

ホームスクール

海外では当たり前なのに、日本ではなかなか認められないホームスクーリング。日本ホームスクール支援協会の調査では、3000世帯でホームスクールが実施されているようです。

郷原
郷原

家庭の負担も大きく、一刻も早い支援が求められます。

海外のホームスクールとはレベルが違いますが、日本でもホームスクールの認定に変化が出てきています。教育機会確保法自体には明記されていませんが、家庭におけるICT教育を認める動きがあります。家庭でICT教材(タブレット教材、通信教材など)を使って学習することで、在籍校の出席扱いが認められるケースが出てきています。

はむた
はむた

アメリカは国土が広く、学校へ物理的に通えない子が多かったことから、ホームスクールが文化として根付いているんだな。

おわりに

郷原
郷原

学校以外の多様な学びの場の重要性が認められたとはいえ、「学校」と同じような扱いをされるのはまだまだ先のようです。

次回、教育機会確保法が制定されるまでの舞台裏について解説します。そちらをご覧いただくと、日本の教育政治事情がよくわかり、10年先の日本の教育も見えてきます。

タイトルとURLをコピーしました